オルタネーター修理 分解編

オルタネーター修理 分解編

オルタネーター修理 取外し編」の続きです。

翌日、作業を再開します。取り外したオルタネーターを分解します。

まず一番目立つプーリーを外しにかかります。ナットに565を吹き付けて浸透させます(昨日吹き付けておけば良かったと、早くも後悔)。

浸透を待つこと15分。中央のナットに24mmの六角レンチを掛けて、プーリーを手で押さえて力を加えます。
が、とてもそんなヤワなやり方で緩む相手ではありませんでした。5秒であきらめました。

しばらく考えて、次の方法を試します。
雑巾を巻いたプーリーをオイルフィルターレンチで押さえて、中央のナットは600mmのブレーカーバーで回す作戦です。ぴーがフィルターレンチを押さえ、ぱーがブレーカーバーを回す夫婦二人がかり。結婚式以来久々の夫婦共同作業です。これなら行けるでしょうか?

ところが雑巾の中でプーリーが空回りして失敗。夫婦共同作業も久々ではなかなか上手くいかないようです。

その後半分やけになり、雑巾でくるんだプーリーを万力にはさんで回したところ、雑巾が破けて万力がプーリーに直接当たってしまいプーリー外周にキズをつけてしまいました。大ショック!!

心を落ち着かせるために、プーリーは後回しにして本体の分解を進めることにします。本体外周の4箇所のボルトを外します。

後ろ側ケースをとめている5箇所のナットを外す。

B端子のナットを外す。

これで前後のケースが外れるハズですが取れません。ハンマーで軽く叩いてもびくともしません。
そこで前後のケースの外枠にこのようにボルトナットをはめて、ナットを回して枠の間を開くようにします。

外れた!

中央の丸い穴は、後ろ側のベアリングがはまっていた穴。黒い物はスス。

後ろ側のベアリング。

ここで先ほどのプーリーを外すいい方法を思いつきました。プーリーに雑巾ではなく木片を当てて万力で挟めばいいのではないだろうか?どうして最初に思いつかなかったのでしょうか?やはり焦るとダメですね。早速実行。

こんどはプーリーの固定がしっかりしているので、まずは普通のラチェットレンチでトライ、、、

ビクともしません。
やはりブレーカーバー登場。

ところが万力がプーリーを押さえきれず、プーリーが空回り。それにつられて木片が外れてしまいました。失敗。

上手くいかないので一服して考えます。(頭も冷やします)
プロはこれをどうやって外しているかというと、エアー駆動のインパクトレンチでガガガガーッとやって一発で外すらしいです。インパクトの連続打撃が有効なのでしょうか?でもそんな道具持ってるわけありません。

でもそれに近い物を持っていることに気がつきました。
電動ドリルドライバー。マキタによれば締め付けトルク38N。非力ですが、連続打撃が効くかもしれません。(でも24mmソケットを持っていないので、tone製ソケットをAmazonで発注→翌日着。つまりここで一晩経過)

結果は惨敗、まったく非力、連続打撃も無意味。ソケット代はムダな投資に(このことは、ぱーにはナイショ)。

ここで再度考えます。
けっこういいところまで来てると思うのですが、力を加えると木片がプーリーにつられて外れてしまうんですよね。

そこでラワンベニヤを切って、

こんな物を作り、

再挑戦。

木は外れなくなりましたが、やはりプーリーが回ってしまい失敗。
もう一晩考える。Zzzzz、、、。

翌朝、思い出しました。ナットをバーナーで炙って膨張させ緩ませる方法です。最終手段です。
早速自転車で3分のドイトプロに行ってバーナー購入。人生初バーナー準備完了!。

外れた!

バーナーは強力でした。

ようやく次に進めます。
次は、ダイオードやICレギュレーターからなるレクティファイアと言う部品を外しにかかります。そのためには、この4カ所のハンダつけ箇所を熱して溶かします。

手許の30Wハンダごてで加熱するのですが、いくらやってもハンダが溶けません。ゼンゼン溶けません。どうなってるのこのハンダ?もしかしてロウ付けされているのでしょうか?
と言うわけで、この日の作業はここまで。

夜、ネットでいろいろ調べます。
すると世の中には高温ハンダというものがあることが解りました。鉛フリーハンダと言われている物です。一般的なハンダの融点は180度くらいですが、高温ハンダは227度です。オルタネーターは高温になる部品なのでもしかすると高温ハンダが使われているのかもしれません。

そこで100Wの強力なコテをAmazonで購入。到着待ちでもう一日経過。

準備万端。結果は?

取れた!

でも100Wでもようやく溶けたと言う感じでした。高温ハンダ恐るべし。

次は、ステーター(外周コイル)の取外しです。
鉄のコアと前側ケースの間に565を浸透させ待つこと15分。

わずかの隙間に精密ドライバーを差し込んでこじります。ドライバーが曲がりそうです。微妙な力加減が肝心。

わずかに隙間ができたら、普通のマイナスドライバーでこじる。

外れた!

ローター側に付いている後ろ側ベアリングにプーラーをかけて、

どうか抜けますように、、、。

抜けた!

抜けたベアリング。NTN Made in JAPAN。なかなかいいぞ。

もちろんこれも新品に交換です。
日産純正はAmazonやMonotaROで3千円くらいしますが、ネット情報によればベアリングの呼び番号を見て同じ物をネットで買えば千円くらいで購入可能らしい。
でその呼び番号は、、、、ベアリング側面に“SC00A06LH1”の文字。でも呼び番号は普通、6200ZZNR,,,とかそんなカンジの文字列のハズです。“SC00A06LH1”では意味不明です。だいたい0(ゼロ)とO(オー)の区別もつきません。もちろんこれで検索しても何もヒットしません。
しょうがないので外形27mm、内径10mm、厚さ11mm、シール色は茶色に該当するベアリングを探すも見つかりません。またまたどうなってるの?

その夜、ベアリングについて調べました。
するとNTNのHPによると、このベアリングはどうやら“オルタネータ用高温長寿命軸受”というもののようです。180度の高温に耐える特殊ベアリングでした。日産純正を買うしかないようです。がっかり。

残るは、前側ケースとローターの分離です。
ケースにプーラーを掛けてローター軸を押し出そうとするも、、、ダメ。

叩いてもダメ。前側ベアリングと軸がガッチリ固着しているようです。

ちなみに前ケースはアルミ製なので、バーナーで炙るという必殺技は使えません(アルミが溶けるらしい)。高温のサラダ油につける方法も考えましたが、ベアリングと軸が一緒に膨張してしまうので意味が無いと思われます。またそれでも外れなかった場合、ベアリングにサラダ油が入ってしまい、ベアリングが死んでしまいます。

一晩考えます。思いついた方法とは、、、。

初夏の日差しに2時間放置。ケースよ熱くなれ、熱くなれ〜〜。

手で触れないくらい熱くなったところで、氷水を用意して、、、。

軸の先端を氷水で冷やします。(ベアリングが水に浸からないように慎重に)

10分後、プーラーを掛けて押し出すも、、、

抜けませんでした。やっぱりダメか。いい方法だと思ったんですが、、、。

結局あきらめました。
写真は、今回バラバラになったオルタネーター。ここまでが限界。

さて各部品をチェックして問題箇所を探します。
参考書と首っ引きで各種数値を確認します。

ローターコイル抵抗値2.3オーム。OK!(正常値は2.31オーム)

スリップリング直径26.85mm。OK!(26mm未満なら要交換)
ちなみにブラシが当たっていない部分は27mmでした。つまり新品時は27mmということ。23.5万キロ走行で0.15mm摩耗したわけです。と言うことは、1mm÷0.15×23.5万km=156万キロは持つと言うことです)

外周コイル導通ヨシ!

ブラシ残、エンドラインまで8mm。OK!

ブラシは、新品時の長さは解りませんが、ブラシを一番奥まで押し込むとブラシ先端からスリップリングまで8mmくらいの隙間ができたので、おそらくそれくらい摩耗したのだと思います。つまり23.5万キロ走行で半分減ったと言うことです。ブラシだけの寿命で言えばおそらく40万キロは持つということかもしれません。

「なんだどこも悪くないじゃん」と思ったのですが、とうとう見つけました。
ダイオードの導通を調べたところ、

6個あるダイオード(それ以外にマイナス端子に逆流防止(か?)の最後の砦として2個ついているので合計8個ついているのですが。素人なので間違ってるかもしれませんが←202307加筆:最後の2個は中性点ダイオードと言って、発電効率を上げるための物らしいです。詳しくは、https://www.youtube.com/watch?v=EbqZYpK43HAなどご参照ください。詳しく書かれた素晴らしい動画です)の内2個が、本来導通がないはずの方向で導通がありました。また逆方向の抵抗値も、他の4個とは違った値を示しました。
故障の原因は、おそらくコレでしょう。オルタネーターは三相交流発電機ですが、その内1つの相についている2つのダイオードが壊れていたので、発電量が2/3になっていたのだと思います。

ようやく原因が特定できて(たぶん)一安心。これで交換部品を発注できます。
発注したのは、
○レクティファイアー 23124VD70A 日産純正新品 MonotaROで税込¥36,936
○後ろ側ベアリング 231200M000 日産純正 MonotaROで税込¥3,488
でした。

ちなみに取り外せなかった前側ベアリングは、そのまま使い続けることにしました。ブラシが40万キロの寿命と言うことは、他の部品の寿命もそのくらいあると考えることにしました。なにしろ“オルタネータ用高温長寿命軸受”ですから。
ただプーラーで押したり、トンカチで叩いたりしてしまったことが若干気がかりです。それが原因で壊れてなければいいのですが、、、。

さて発注部品は、MonotaRO HPでは、発送までに4日かかるそうです。それまで作業は中止。到着を待つことにします。それまでビールの備蓄が持つかどうかだけが気がかりです。

オルタネーター修理 組立編」に続く。

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