オルタネーター修理 組立&取付編

オルタネーター修理 組立&取付編

オルタネーター修理 分解編」からの続き。

MonotaROからレクティファイアとベアリングが届きました。
木曜の夜に発注して火曜午前に届きました。土日をはさんだにもかかわらず素早い到着です。日産の在庫状況が良好な事が伺えます。

サンタからクリスマスプレゼントが届いたときの気持ちを想い出しながら開封します。(冗談デス)

レクティファイアとベアリング。

レクティファイアの箱の中身。

レクティファイア本体とB端子の絶縁用部品2個とナット1個が同梱されていました。

新旧レクティファイア比較。(左がおニュー)

ダイオード(直径1cm程度の4つの丸いやつ)に付いている型番表示が変わったのと、旧はその内1個が他とは型番が違ったのですが、新は4個とも同じ型番になっています(反対側にあと4つ付いているのですが、それの型番は陰になっていて読めないので不明)。それ以外は見かけは同じ。
ただブラシの長さだけは随分違うのが一目瞭然。

新しいブラシ。エンドラインまで16mm。

分解編で書きましたが、旧はエンドラインまで残り8mmだったので、やはり23.5万キロ走行で、寿命の半分摩耗したということです。

ベアリングの方は、、、。

呼び番号は旧と同じ。見た目も同じです。
ただ穴に指を入れて回してみると、旧はクルクル回るのに、新はグリースの粘度が効いていて少し重くヌルヌル回る感じです。グリースは23.5万キロで劣化が否めないようです。
そうなると交換できなかった前側ベアリングのグリース劣化が気になります。せめてシールをむいてグリースを注入すればいいのかもしれませんが、高温に耐えるグリースを探して取り寄せていたら、あっという間に3、4日経ってしまいます。ビールの備蓄が尽きかけている今、そんな悠長なことをしている時間はありません。
ぱーの“いつまでやってんだ 光線”も背中に刺さる今日この頃です。

ということで、眺めるのはこのくらいにして組立開始!

まずベアリングをはめる軸とスリップリングを、1500番の紙やすりでかる〜くなでるように磨きます。

ビフォー。

アフター。

軸はきれいになりましたが、スリップリングはブラシがつけた溝がかえって目立つように、、、。わずかな段差もついています。
「段差がある場合は交換」となにかで読んだ記憶がありますが、ローター交換はさらに3万円コースなので、この段差は見なかったことに。ブラシが段差に合わせて摩耗してくれるのを期待します。

軸に噛み込み予防のグリースを塗って、

ベアリングを叩き込む。ラチェットのコマを使って、ベアリング内輪だけを叩くようにします。(写真ではコマが中心からズレてますが、これは写真を取った時だけ。実際に叩くときは、慎重に中心に合わせました)

軸のツラ位置までたたき込む。あと一発叩いたら、やり過ぎるところでした。

ブラシに開いている穴に、精密ドライバーを差し込んでブラシを引っ込んだ位置で固定して、軸に挿入します。

精密ドライバーを抜いて挿入完了!

ここまでで、こうなります。
次は、外周コイルから出ている4本の電線をレクティファイアにハンダ付けします。

取り外す時に使った100Wハンダごてに再登場いただきます。
ハンダもこのために買った高温ハンダ。

融点227度。いいね!

4本の線をハンダ付けする位置が悪いと、ローターの冷却フィンがレクティファイアをこすってしまうので、ある程度隙間をあけて正確に位置決めする必要があります。
そこで2mm厚のアルミ板をフィンとレクティファイアの間にはさんで位置決めします。(2mm厚にしたのは、ブラシがスリップリングに接触していた跡に、新しいブラシが丁度当たるようにしたら2mmだったので)

線を端子の間に入れて、

かしめて、

ハンダ付け。
車を流れる全電流がここを流れるかと思うと緊張します。ぴーの人生50数年で培った全てのワザを結集してハンダを盛る。

結果はこの程度ですけどね。

次はケースの組立です。
後ろ側ケースのベアリングがはまる穴にもグリースを塗って噛み込み防止。

B端子に絶縁用プラスチック部品を忘れずにはめて、

ケースをたたき込んで合体。

B端子のナットを締めて、

後ろケースの5個のナットを締め、
(これでマイナス電流がケースに流れるようになります)

周囲の4本のボルトを締める。

このB端子ナットと5個のナットと4本のボルトは、締め付けトルクが指定されているのですが、どれも10N・mに満たない弱い指定トルクで、手許のトルクレンチでは測定範囲外ないので感覚で締めました。

組立の最後は、問題のベルトープーリー。こいつには今回けっこう泣かされました。うまく締められるでしょうか?

取外し時に作ったSST(スペシャル工具)再登場。バーナーで焼けた跡が痛々しい。

トルクレンチで78N・mで締めました。取付成功!

あとは取外した時の手順メモの逆順で車体に取付ます。

取付完了。

試運転も問題なし。
エンジンが充分暖まってからアイドリング時の電圧を測ったら13.5Vで正常値でした。あとは交換できなかった前側ベアリングがどこまで持つかですね。どうか日本に帰るまで壊れないで欲しいものです。

【やってみた感想】

今回サファリのオルタネーターをDIYで部品交換してみましたが、ハッキリ言うと、この作業はDIY向きではないと思いました。
その理由は、

①レクティファイア、ベアリングが高い

このオルタは、壊れるとしたらレクティファイアとベアリングでしょう。しかしレクティファイアは3.5万円。ベアリングは汎用品が使えないので、純正品2個で7千円もします。合計4万以上しますが、これなら4.5万程度でリビルド品を買うことができます。
ただリビルド品は、“1年で壊れた”と言う書き込みがよく見受けられます。これはぴーの憶測ですが、リビルド品はブラシとベアリングなど機械的摩耗部品のみ交換して、レクティファイアはチェックして問題無ければそのまま再利用しているのではないしょうか。しかしリビルド品の元になるのは、やはりかなりの距離を走った中古の個体だと思います。そうなるとレクティファイアも寿命ギリギリ(または寿命を過ぎている)に違いありません。だからすぐに壊れるのではないでしょうか?そんな部品を使った品に、4.5万も払うのはいかがなものでしょうか?
ぴーの場合は、1年後に海外で壊れるのは勘弁願いたかったので、少々高くても自分で部品交換の道を選んだわけです。ちなみに純正新品は9万円ですのでそれよりは安いです。
余談ですが、ブラシやスリップリングはおそらく40〜50万kmは充分持つと思いますが、何らかの理由でブラシだけ交換したい場合ですが、このオルタは残念ながらブラシ単体では購入できません。やはりレクティファイアごと購入するしかありません。電動工具のブラシを買ってきて自分で加工して作るという方もいらっしゃるようですが、、、、自己責任でトライしてみるという選択肢もあるでしょう。

②特殊工具を購入しなければならない

今回この作業のためにぴーが新たに購入した工具は、ギアプーラー、ベアリングプーラー、ガスバーナー、100W半田ごて+高温ハンダです。締めて合計6千円くらいです。工具はこの先も使う事があるかどうかは人それぞれでしょうが、工具代も考えればリビルド品の方が絶対安いです。

③作業難易度が高い

ぴーにとっては少々難易度が高かったです。プーリーを外すのに苦労しましたし、前側ベアリングはとうとう取れませんでした。また組立時に、ローターの冷却フィンとレクティファイアが干渉しないように隙間を少々正確に取らなければならなかったり、美しいハンダ付けのワザも必要です。

今回、完璧には修理できませんでしたが、オルタの構造が理解出来ました。また自分の手が入ったことでオルタへの愛着もわきました。
ずんぐりむっくりで、ごろっとしてますが、結構かわいいヤツですよ!
以上、オルタネーターの不調に悩む方のご参考になればと思います。

※後日加筆↓

オルタネーターの電気的な仕組みについてはこの動画が非常に解りやすいです。オルタの機械的構造を解説してくれるページは多くありますが、電気的仕組みを解説してくれるページはなかなか少ない中で、ぴーは目からウロコでした。一歩深い理解ができました。
とても良い動画なのでご参考まで。

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