フリーホイールハブ外してみた

世界旅に出発する前に、何としてでもやっておきたい整備があります。
それは、

ホイールベアリングの交換

当然ですが車の4つのタイヤは、ホイールベアリングで回っています。
17年27万キロ走ったデイビーのベアリングは、既にかなり疲れていると思われます。
この上さらに、世界の悪路を20万キロ以上走らせたら、
ベアリングが音を上げて、旅の途中で走行不能になるかもしれません。
そうならないように、事前に交換しておきたいのです。

しかしホイールベアリング交換は、なかなか難易度の高い作業です。
いろいろなブログやYouTubeで勉強させていただいてますが、高度なスキルや力技だけで無く、特殊工具も必要そうです。
さらにお金も多少掛かるので本当に出発が決まるまで、手を付けないでいるのです。

でも今回、前輪ハブを少し分解して、どういう仕組みになっているのか、内部の現在の状態、作業の難易度をチョコッと見てみることにしました。
もちろん新車購入以来一度も分解したことはありません。

まずはジャッキアップして前輪タイヤを外す。

これが前輪ハブ。この中にハブベアリングが入っている。

ベアリングにアクセスするには、まずフリーホイールハブを外さなければいけません。

ちなみにフリーホイールハブとは何か?
一言で言うと、前輪とドライブシャフトを切ったりつないだりする装置です。
四輪駆動車が、普段の道で四駆にしないで後輪駆動で走るときに、前輪と前輪のドラシャがつながったままだと、前輪の空転が重くなって燃費が落ちるので、前輪とシャフトを切り離して、前輪が軽く回るようにするのです。省燃費のための機構です。

フリーホイールハブを外すときは、まずハブの切り替えを “LOCK” にします。

どうしてそうするかと言うと、本に書いてあったから、、、理由は知りません・笑
ハブ中心の六角ボルトをレンチで回して “LOCK” します。

続いてハブを固定している6本のヘックスボルトを外します。

8mmのヘックスキー。monotaroで税込み207円。安くて助かります。

早速使ってみる。

安物ですがモンダイナシ。
8mmですから太いので、折れたり捻れたりはしないでしょう。しっかりしています。
monotaroオリジナル工具、結構気に入ってます。

難なく抜ける。

全部抜けた。

それにしてもボルトだらけで何が何だかわからなくなりそう。

するとフリーホイールハブが外れます。

そ〜っと外す。何かがビヨ〜〜ンと飛び出さないか恐る恐る。

何事も起きることなく無事外れました。

ハブの中。グリスが真っ黒。

汚れていない黄色いグリスが端に残っていたので、この黒は汚れです。
元から黒いモリブデングリスではありません。

ホイールハブ側。
ハブナットの緩み止めワッシャが現れました。

他車によくあるワッシャの外側を折り曲げるカシメタイプじゃないのですね。

緩み止めワッシャの固定ネジを外す。

サビないようにステンレスネジが使われています。

外れた。

ステンネジなので、ドライバーの磁力に付かないので、落として無くさないように。

ワッシャ外すと、、、

ハブナットが現れる。

ハブナットは六角ナットではなく、二つの穴に特殊工具はめて回すタイプでした。

内部はすき間無くグリスが充填されている。
穴の中にまでグリスがみっちり。

でも真っ黒。汚れがヒドイ。ちなみに汚れていないグリスは薄黄色。

ちなみに日本の大手ベアリングメーカーNTNのHPによれば、出荷時のハブベアリングには、↓のグリースが充填されているそうです。これらのグリスは、耐フレッティング性のあるグリスなんだそうです。しかもウレアグリースです。(※日産サファリが、NTN製ベアリングを使っているかどうかは、今回はそこまで分解していないので不明)

耐フレッティング性とは、新車を海外へ輸出する時、車を船に2、3週間載せて運ぶわけですが、その間車を動かさないので、ベアリングのコロや玉が、ベアリングハウジングの一点に当たり続け、しかも船の振動でそこがグリグリされ続けると傷付くそうです。これをフレッティング摩耗と言うそうです。それを防ぐグリスと言うことです。

そうなると世界旅に行くときも、車をコンテナ船で輸送するわけですが、ロシアに3日で輸送する程度なら問題ないでしょうが(2023.05現在、ロシア経由の選択肢は、ほぼ消えましたが)、ヨーロッパやアフリカへ運ぶなら、一ヶ月くらい船に載せるので(しかも荷物満載だし)、耐フレッティング性のあるグリスを充填した方がいいかもしれません。
ぴーよしはハブベアリングメンテには、手持ちの日産ピットワーク MPスペシャルグリース No.2を使おうと思っていたのですがどうしよう。まあ考えすぎかもしれませんが、、、。
ちなみに日産に限らず各自動車メーカーの純正グリスは、グリスの基本データが未公開なのが困ります。
例えばリチウムなのかウレアなのか、使用可能温度とか耐フレッティング性の有無とか、、、「信じて使え!」と言うことですかねえ・笑。

話は戻って、二穴のサイズ確認。

穴の間隔50mm(芯芯)、穴直径7mm、深さ7mm。ドラシャ直径32mm、飛び出し量38mmです。

そうなるとこのナットを外すには、例えばこんな専用工具が必要です。

ジムニー用と書いてありますがサイズ的にはマッチしそうです。←2024.03加筆。買って試しましたが、サファリにはサイズが合いませんでした。
ただしピンが4本付いているので、不要な2本をグラインダー等で削り落とす必要があります。

ところでこういう測定時に頼りになるのは正確なノギス。
昔100円ショップでプラスチックのノギスが売っていたので、つい買ってしまったところ、全く使い物になりませんでした。
その後反省して買ったのがコレ。

精度と信頼のかたまり ミツトヨ製。Made in Japan。

“完璧な物” とは、コレのことを言うのです。
非の打ち所がありません。
今の時代、0.01mmまで計れるデジタルノギスもありますが、電気モノはいずれは壊れます。
これは0.05mmまでしか目盛りがありませんが、DIYなら(人にも依りますが)0.1mmまで計れれば充分です。

正しく計ることの大切さ、正しく計れることの “幸せ” を教えてくれる逸品です。

一生モノです。しかもお手頃価格です。

話が逸れました。

専用工具が無いとナットが外せないので、今回はここまでか?と思ったのですが、
試しにナットの穴にドライバー突っ込んでみたら、、、

あっさり回るではありませんか。

で、取れた!

ほとんど力を入れないで回りました。
「どうなってんの?」と思って調べたら、
ここの規定締め付けトルクは、わずか3〜5N・mでした。ほとんど力が加わっていないのと同じです。
ここを締めるときは、緩すぎて手持ちのトルクレンチのレンジ外なので、手トルク決定だな。

それなら先ほどのジムニー用の専用工具はいらないのでは?と思うかもしれませんが、それはアマイ。
ハブベアリング交換後にナットを取り付けるときは、まず167〜196N・mの大トルクで締めて、
タイヤを付けて数回前後にぐるぐる回したり、タイヤ周囲をゴンゴン叩いてベアリングをセンター出ししてなじませます。
その後一旦緩めて、改めて3〜5N・mで締め直すのです。
190で締めるにはやはり専用工具が必要です。
それにしても190と3では差がありすぎて戸惑いますね。ホント。

外れたハブナット(左)と、緩み止めワッシャー(右)。

すき間からハブベアリング?が見えました。

これ以上分解するには、ブレーキキャリパーを外さなければならないので、今回はここまでにしました。

ベアリングの状態チェックはできませんでしたが、グリスはかなり汚れています。
やはり出発前に交換しないとマズそうです。

ちなみにハブベアリングは、日産純正は高いので、日本のベアリングメーカー品を購入予定です。
どうせ純正品も、どこかのベアリングメーカー製です。
しかもメーカー品だと、@1,000〜3,500円程度で買えるので助かります。
(ただし1台分として前輪4個、キングピン4個、後輪2個必要です)
型番も既に調べてあるので、あとはNTN、KOYO、NSK、NACHIどのメーカーにしようかな?
(ただしリヤホイールベアリングは、型番は分かっているのですが、販売している国内HPが見つからない。海外HPなら@1万円程度。近所のベアリング販売店で取り寄せできないか聞くつもり)

ちなみに日本には、信頼できるベアリングメーカーがこんなにもあるとはスバラシイ限りです。
日本人に生まれてよかったと思う瞬間です(笑)。

最後にハブナットを手トルクで締めて、今回はここまでとしました。