自動車カルネのモンダイ
そろそろ夏も終わりです。9月になったら出発まで七ヶ月。
「車ばっかりいじってないで、旅に必要な手続きも調べた方がいいんじゃないの?」ぱーに言われてしまいました。全くその通りです。
そこでまず手始めに、一番大きな問題から手をつけることにしました(笑)。
それは自動車カルネです。
海外を走ることを目指す日本人オーバーランダーにとって最大の問題。
それが自動車カルネです。
うわさによると、手続きがややこしい、金がかかるなどあまり良いこと聞かないんですよね。
ぴーぱーの後に続く人のためにも(と言っても、ぴーぱー自身がまだ出発していませんが、、、)、カルネのどこが難しいのか、この問題をどう乗り越えたらいいのか、ここでキッチリ答えを出したいと思います。
まず、自動車カルネとは何でしょうか?
自分の車で海外の国々を走ると言うことは、それらの国々に車を “輸入して再輸出する” ことを繰り返すと言うことです。
車の輸入には、多くの国では輸入関税という税金を課しています。税率は国よってまちまちですが、車両価値の数%の国もあれば、100%の国もあるようです。つまり一つの国に入国する毎に、数万〜数百万円の税金を支払わなければならないと言うことです。
そんなべらぼうな!!
と思いますよね。自動車販売目的で輸入するならまだしも、ぴーぱーのような個人旅行者がわずか数日〜数週間車を持ち込むだけのために、そんな大金毎回払えるわけがありません。
そこで考えられた制度が自動車カルネです。
自動車カルネとは、“短期間持ち込むだけなら税金を払わなくてもいいよ”という制度です。
日本では、JAFが自動車カルネの申し込み窓口になっていて、そこで手続きをするとカルネの書類を発行してくれます。そしてその書類を入国時に国境の税関に提出すれば、めでたく無税で車を持ち込めると言うわけです。
このように書けば、自動車カルネとは素晴らしい制度だ、是非申請すべきだと思うかもしれません。
ところがどっこい、世の中そう簡単ではないのです。
カルネを申請し使用するには様々な条件があるのです。
【条件1】カルネ加盟国でしか使えない。
ではどの国が加盟国なのでしょうか?JAFのHPに書いてあった加盟国を地図に落とし込んでみました。水色の国が加盟国です。(2019年8月現在。JAF HP参照)
えっ?たったこれだけ?
そうなのです、自動車カルネに加盟している国は日本も含めて少数派なのです。(ちなみに車以外の高価な物品を短期間無税で持ち込むためのカルネはATAカルネといい、自動車カルネとは別のものです。加盟国も異なります)
さらにぴーぱーが行こうとしているルートを地図に重ねると。
ロシアから南アフリカまで、カルネ加盟国はたった4カ国しかありません。
帰路にもういくつか加盟国を通過する可能性はありますが、それはひとまずおいといて、、、。
また「カルネに加盟していない国でもカルネが使えた」という情報もありますが、いずれにしてもこの少なさはどうなのよ!というカンジです。
【条件2】担保金が必要。
これが一番めんどうです。
カルネを使って入国しても、期限内に再輸出しなかったり、その国の中で車を売ったりして再輸出しなかった場合は、その国の税関からJAFへ、違約金が請求されます。違約金の額は、基本的にはカルネ無しで輸入した場合の輸入税と同額ですが、悪意・故意があると見なされるとさらに高額になるそうです。
JAFではそれに備えてカルネ発行時に、旅行中に入国する予定の全てのカルネ加盟国の輸入税(カルネを使用しないで輸入した場合の輸入税)の総額を、担保金として申請者に預けさせる制度をとっています。担保金は何事も無く帰国すれば全額返金されますが、なにしろその額は高額になります。通過国が多ければ数百万になることもあるようです。
担保金の支払い方法は、現金支払いの他に、カルネ保険というものがあり、担保金の3%の額を保険料として納めればよいという方法もあります。この方法なら負担は一気に軽くなります。しかし勘違いしてはいけないのは、違約金の請求が来た場合、保険会社は一時的にそれをJAFに支払ってくれますが、最終的には申請者が保険会社に全額支払わなければなりません。また3%の保険料は掛け捨てで戻ってきません。
こういうのは一般的には “保険” とは言いませんネ。“立て替え” ですよネ。
【条件3】連帯保証人が必要。
カルネ申請には連帯保証人が必要です。担保金の額を超えた違約金が発生し、それが本人の支払い能力を超えた場合への備えです。保険を利用する場合も必要です。
保証人に年齢や収入の有無など条件はありませんが、旅行期間中に日本国内にいる人に限られます。つまり妻のぱーの車のカルネの連帯保証人に、夫のぴーがなることはできません。何故かと言えば一緒に旅行しているからです。
保証人が必要となると、人によっては敷居がまた高くなります。
【条件4】有効期限は1年だけ。
自動車カルネの有効期限は1年です。ぴーぱーの旅は、それよりもう少し長くなる予定です。有効期限を延長する場合は、“差し替え申請” という名の延長申請が可能です。
ところが “差し替え申請” は、実質的には再申請と変わりありません。
手続きは、本人でも代理人でもOKです。車両は海外の非加盟国に置いてなければなりません。加盟国内にあると現状のカルネの使用中となるなので手続きできません。車を日本に一時帰国させる必要はありません。
ところがここから先が問題です。差し替え申請の場合、カルネ保険は使えません。担保金は現金払いのみです。また一回目に現金払いした場合、一回目の担保はこの時は返ってきません。最終的に帰国してカルネを返却したときに、一回目、二回目の担保金をようやく返してもらえるのです。
なおカルネの返却は、期限が切れた後でも構わないそうです。ただし最後のカルネ加盟国からは一年の有効期限内にに再輸出しなければなりません。
以上は、JAFのHPとJAFに電話をして聞いた内容です。
それ以外にもこんな質問をしてみました。
Q1 日本を出国してから最初の加盟国に入国するまで半年以上かかるので、入国直前に本人が一時帰国して、カルネ申請することは可能か?
A 申請&発行は可能。ただし、日本から輸出した記録が書類に残らないので、入国の際、国によっては受付けてくれない場合がある。
Q2 カルネを持たずにカルネ加盟国に車を持ち込むことは可能か?
A できません。←これは担当の方も少し自信なさそうに答えていましたが、、、。
もちろんこれ以外にも、カルネ申請にあたっては様々な申請書への記入や書類の作製など結構な事務作業をしなければなりません。記入のミスなどもあるので、手続きは2ヶ月前くらいから始めた方がいいそうです。
いや〜想像以上にカルネは難物です。
もし本当に加盟国にカルネ無しでは入国できないならば、わずか数カ国の加盟国を通過するためだけに高額の担保金を預けなければならないと言うことです。
JAFにはキツい言い方になりますが、これはやはり旅行者にとって足かせ以外の何者でもないのではないでしょうか?
しかし逆に加盟国が増えると、通過加盟国が増えるので、担保金もより高額になってしまい、旅をすることが困難になってしまいます。
現状のシステムは、加盟国が増えても減ってもありがたくない問題のあるシステムだと思います。
本来、旅行者の便宜を図るために加盟したカルネ条約が、逆に旅行者の自由を奪っているとしか思えないのですが、皆さんどう思われますか?
ほとほと困り果てたぴーぱーです。かなり気分が暗くなってきました。
“カルネ”という字が頭の上に重くのしかかった気がします。
でもちょっと待てよ、、、。ぴーは考えました。
じゃあ、
①カルネ非加盟国に車を乗り入れる場合はどうしているのか?
②非加盟国の人が、他国に車を乗り入れる場合はどうするのか?
①については、ぴーはこれまで何カ国か、非加盟国の陸の国境を通過したことがありますが、そこでは地元の車が列をなして隣国に入る手続きをしているのをよく見かけました。ボロボロの車も多く見られます。そんな車に乗った人が、ウン十万、ウン百万もする輸入関税を払えるわけがありません(人は見かけで判断してはいけませんが)。
また陸路でつながっている国は、隣国との物資の輸送も頻繁です。物資を積んだトラックから毎回車両輸入関税をとっていたら、経済活動が成り立ちません。
②については、カルネに加盟していないヨーロッパの国々のオーバーランダーが、新たな国に入る毎に、関税を払っているということも聞いたことがありません。
つまり①②のどちらの場合も、輸入関税をキッチリ全額払わされるということは無いのではないか?と考えたわけです。
たぶんカルネに代わる他の方法があるに違いないと思ったぴーは、いろいろ調べてみました。一日PCにかじりついて調べたら、やっぱりありました。
TIPという許可証です。
Temporary Import Permitの略です。訳すと“一時輸入許可証”でしょうか?
どうやらカルネ非加盟国に入る場合や、非加盟国の人がカルネ無しで加盟国に車を持ち込む場合は、国境でTIPの書類に記入するようです。そうすれば一定期間内に限り車を無税で持ち込めるようです。
もちろん申請費用は若干かかりますし、デポジットとして数万円程度預ける必要もあるようです。
やはりそういう方法があったのですね。
それではぴーぱーは、いったいどうしたらいいのでしょうか?
カルネ、TIP、関税、カルネ、TIP、関税、、、頭の中でこの三つがドロドロと回っているような気分。
すると、ふと素晴らしい解決方法を思いつきました。
これで一気に全てきれいに解決できるのでは?
その方法とは???
自動車カルネは申請しない。
です。
そうです、たかが四カ国のために、大金を預け、保証人に頭を下げ、書類づくりに時間を浪費し、神経をすり減らす必要はないのです。
カルネなんか忘れて、TIPだけを頼って自由に旅すればいいのではないでしょうか?
でも本当にこれでいいのかイマイチ自信がありません。
そこで日本人オーバーランダーの諸先輩方で、
ご存じの方がおられましたら教えて下さい。
○こんなぴーぱーの考えは正しいでしょうか?
○このやり方で、喜望峰までたどり着けるでしょうか?
途中のカルネ加盟国の、モーリタニア、トーゴ、ナミビア、南アフリカには、カルネ無しでTIPで入国できるでしょうか?
○TIPの制度も無く輸入関税をキッチリ全額徴収する国もあるのでしょうか?
○入国時に預けたTIPのデポジットは、出国時に本当に返ってくるのでしょうか?(特にアフリカの国々でも)
ご教授下さい。よろしくお願いいたします。
ぴーぱー夫婦の だんなのぴー:車担当。
四駆、旅、登山、星、温泉、お遍路、DIY、野菜づくり、マグロ好きの50代。別名マグロよしのり。2020年3月退職。
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