Russian Pilgrim Residence(バプティズム・サイト)
- 2018.01.10
- 今夜の宿 ヨルダン-2017.12〜2018.01
- 朝食のみ, 宿坊
2019年1月訪問
Ma’in Hot Springs で身も心もホッカホカに温まったぴーぱーは、その日のホテルへ向かいます。
長湯をしたせいで、少々遅くなってしまいました。今日泊まるのは、Russian Pilgrim Residence と言う宿です。
この宿は The Baptism Site(バプティズム・サイト)というキリスト教の聖地の中にあります。アラビア語では、アル=マグタスと言い世界遺産に登録されているのです。
皆さん、バプティズム・サイトって知ってますか?ぴーぱーはハッキリ白状するとよく知りませんでした。知らないけど他に行くところも無かったので行きました。しかしこの場所は、キリスト教徒にとっては一生に一度は行ってみたいといっても過言では無い重要な聖地だったのです。
〜予約担当ぱーの声
なぜこの宿を選んだか?というと、ぴーの言う通り他に目ぼしい宿がなかったから。ここは一応ぴーぱーの求めているものを全て備えていたし、最初はあまり深く考えずに決めたんです。
いざ予約しようとBooking.comの注意事項を読んで行くと「施設に来るにはBaptism Siteへの入場料がかかります」と書かれています。
「は?Baptism Siteってなに?」
そこからまずは、バプティズム・サイトについての勉強が始まりました〜
ご存じない方のために一応説明すると、バプティズムとは“洗礼”の意味。サイトは“場所”。イエス・キリストがそこを流れるヨルダン川の水に沐浴して神の洗礼を受けた場所なのです。洗礼を受けたその時「キリストこそ私の子どもである」と言う神の声が聞こえたそうです。この瞬間からイエス・キリストの宗教的活動が始まったそうです。1963年の第三次中東戦争後、一般人立ち入り禁止地域になっていましたが、2002年以降ようやく入れるようになりました。
なのでここは世界各国のキリスト教徒が訪れる場所であり、Russian Pilgrim Residence は、主にロシア人教徒が泊まるためにロシアが作った施設のようです。でもロシア人以外も泊まれます。
以上ここまでの知識は、泊まって薄々気づき、帰国後ネットでいろいろ調べて知ったことです。
〜Booking.comの注意事項には、もう1つ気なることが書かれていました。
「施設はバプティズム・サイトの中にあり、ゲートは6:00pmに閉まります。もし6:00pm過ぎに到着する場合は、事前にお知らせください」
ふむ、まあ6:00pmなら間に合うかな。でもThe Baptism Siteの公式サイトをよく読むと
Winter Time (Nov.1 – April 1)8:30 a.m. 〜 4:00 p.m. (Last entry 3:00 pm)
Summer Time (April 2 – Oct.31)8:30 a.m 〜 6:00 p.m (Last entry 5:00 pm)
って書いてあります。1月は4:00pmでゲートが閉まりますよ!
気付いて良かった、、、、、。
この日はアカバから移動してMa’in Hot Springs で温泉に浸かり、それから1時間ほど走って到着。という予定だったので4:00pmに着けるかどうか微妙です。
念のため予約時に「到着が5:00pm頃になるかもしれないけど大丈夫ですか?」と質問メールを送ったら、一言「 Yes, you can 」と返事が来ました。
随分あっさりした返事だなぁ、、、と思いましたが、まあOKということでしょう。〜
そうは言っても臆病者のぴーぱーです。あまり遅くなるのも心配だったので、4:00pmちょっと過ぎにはゲートに着きました。が、ゲートは既に閉まっていました。やはり遅かったか?
でも、ゲートの横の詰め所に門番のおじいさんがいたので「これこれしかじか、、、。門を開けてほしいぴー」とつたない英語で頼むぴー。でもじいさんは、アラビア語オンリーの方でした。全く通じません。
ぱーがBooking.comの予約ページをアラビア語でプリントアウトしていたのでそれを見せます。しかし老眼で見えないのか、それとも字が読めないのかなかなか的を得ません。それでも「ロシアンホテル」その言葉だけを連発したところ、なんとか理解してくれたようです。じいさんが自分の携帯で宿に電話をしてくれるのですが、今度は電波が悪くて通じません。繋がってもすぐ切れてしまいます。
このじいさんは、いったい何のためにここにいるのでしょうか?全然役に立ちません。せめて英語が話せる人を置いて欲しいものです。
〜ぱーの声
それよりも、前もって「遅くなる」と連絡してあるのに門番になんの連絡もしてないってどういうことでしょう?「 Yes, you can 」という簡単な返事しかよこさないところにも、この施設の適当さが出ていると思いました。〜
もう内心ドキドキのぴーぱーです。でもこういう時は怒ってはいけません。必死の作り笑顔でじいさんをなだめすかし、何度も電話をかけさせてようやく宿の人につながり、ここまで迎えに来てくれることになりました。あ~疲れた、、、。(ここまではホントに焦ったので写真はありません)
迎えに来てくれたオジサンは、施設の責任者らしいロシア人でした。入場料(1人12JOD)を払い、開いたゲートをくぐってオジサンの車の後ろを走ります。でもオジサンの運転が早すぎてついていけません。必死のスピードで追いかけます。
今度は軍のゲートで停止させられました。オジサンが「こいつらウチのお客だから、通してやって」とかなんとか言ったようです。雰囲気でわかります。でもおかげで無事通過。
そうして15分ほど走ってようやく Russian Pilgrim Residence の入口に着きました。(写真は翌朝)
建物は、さすがロシア。金のタマネギが載っています。かつて行ったクレムリン宮殿の様です。
駐車場は、真ん中の細い通路を入って突き当たりの階段の手前を右に進みます。けっこう狭いです。
これが駐車場。数台分のスペース。
車を降りて、タマネギの建物へ戻ります。
このアングルでヤシの木と一緒に写すと、カリフォルニアかどこかの様にも見えますね。
真ん中の通路越しに見えるのは、ヨルダン川対岸のイスラエルです。
でもオジサンから「日没後は川岸には行かないように」とクギを刺されました。やはりここは元紛争地だからでしょうか?
レセプションです。
振り返るとプーチンの写真。ロシア臭がプンプンします。
こちらは売店。宗教的な品物のみ。
〜ぱーの声
迎えにきてくれたオジサンから簡単に館内の説明を受けて支払いを済ませると、部屋までは別の女性が案内してくれました。
彼女は英語は全くわからないようで、簡単な質問をしても理解してもらえず責任者のオジサンを指差すだけ。でも穏やかな雰囲気から、いかにも「宗教施設で働く人」という感じを受けました。
責任者のオジサンだけが、変に俗っぽいていうかいい加減そうっていうか、、、
このオジサンが「 Yes, you can 」メールを送った張本人に違いないd( ̄  ̄) と思ったぱーでした。〜
お部屋
ようやく部屋に入ります。ゲートに到着してから、既に1時間経ってました。
部屋は113号室。レセプションから一番近い部屋でした。
今回 Booking.com で予約したのは
スタンダードツインルーム(20㎡・朝食込み):1泊 / JOD79
エアコン、冷蔵庫、専用バスルームが備わります。
日本円で約12,800円と、安くはない値段です。ぴーぱー予約時は全プラン朝食込みでしたが、時期によっては素泊まりプランもあるようです。でも料金は高くなってます。素泊まりでもJOD90(約14,000円)です。季節料金かもしれません。 〜
部屋は新しく清潔ですが、場所柄に配慮してか控えめで質素。
壁にはキリストの肖像画。
机の下の扉の中には冷蔵庫(確か)。写真撮ってないし記憶もないけど、Booking.comの客室設備には「冷蔵庫」と書かれているので冷蔵庫があったはずです。
入口の方に戻ります。
大きめのクローゼット。追加の掛け布団あり。
シャワーコーナーにはバスタブ無し。
シャワージェルと石鹸あり。
「トイレットペーパーは流してはいけません」と書いてあるトイレ。
外国では結構見る表示ですが、流すと詰まってしまうのでしょうか?ぴーは間違って流したこと何度もあるけど、事件が起きたことはありません。
他にも禁止事項として、
・部屋でお湯を沸かすな。
・温かい飲み物を部屋に持ち込むな。
・タオルをヨルダン川に持っていくな。
だそうです。上の2点については、なぜ禁止なのか?、、、、不明。
窓からの眺めは期待しないで下さい。
公共エリアでは Free Wifi が使えるそうですが、到着も遅かったので試しませんでした。
この日はアカバで買ったペトラビールを飲みました。アルコール度数10%。ここまでくるとホッピーみたいなもんです。
この宿の素晴らしい点、それは暖房が日本製だったことです。
さすがダイキン。力強い温風で部屋をよく暖めてくれます。
しかも音が静か。ハラショー!!ダイキン様のおかげでよく眠れました。
朝食
目覚めて翌朝。快晴。キリスト様ありがとうございます。
どこに泊まっても、温泉以外で一番楽しみなのは朝食かな?ぴーは。
朝食会場は別棟のこの建物です。
中はこうなっています。恐山宿坊吉祥閣の食堂並みの広さです。朝食が並べられているのは一卓だけでした。その点も、恐山宿坊と同じでした。
豪華というよりも、質素で慎ましい朝食。修道院の食事のような感じです。(見たことないけど)
やはりこういう場所では、食事に対する感謝の気持ちを思い出すことが大切かな?と思ったぴーでした。
そんな事を考えていたら修道女のおねえさんがやってきて、料理の説明をしてくださいました。
でも二人分にしては量はかなりある。全部食べるのはムリだから、残ったものはどうなるのだろうか?
おねえさんたちで分け合うのかな?
明日の宿泊者に出すのかな?
捨てるのかな?
ドリンク類は、部屋の隅にありました。
この葉っぱのティーをおねえさんがやたら勧めるので、一応試してみました。
味も色も香りも無い、、、。 でも、そんなこと言えない、、、。
デザートも頂いてご馳走様でした。
泊まった感想
〜ぱーの声
泊まった時はあまり深く考えませんでしたが、改めて公式サイトをみるとRussian Pilgrim Residence はロシア人のための「宿坊」なんですね。
日本でも、一般客に開放している宿坊はたくさんあります。善通寺宿坊いろは会館や恐山宿坊吉祥閣のように「せっかくある宿泊施設を活用しよう」という考え方は世界共通のようです。
施設のスタッフは全員ロシア人らしく、皆さんとっても親切。彼女達の親切になんとかお礼の気持ちを伝えたいと思い、唯一知ってるロシア語で「スパシーバ(ありがとう)」と声をかけたら、嬉しそうに微笑んでくれたのが印象的でした。
車じゃないと行くのが難しい場所なので誰にでもオススメという宿ではありませんが、なかなか面白い経験だったなぁと思います。
興味のある方は、是非行ってみてください。Booking.comから予約可能ですよ。〜
番外編: The Baptism Site
せっかくバプティズム・サイトへの入場料を払ったんですから、サイト内を見学しようと思いました。
でも、施設内にはバプティズム・サイトの案内等は何も書いてありません。スタッフの人に聞いてみたいけど、姿が見えるのは昨日の全く英語を理解できない女性のみです。
どうしようかな〜?と思いながら車に荷物を入れていると、施設の庭師だという男性が話しかけてきました。
男性「どこから来たんだい?」
ぴー「日本です」
男性「へー、遠くから来たんだね〜。日本から何時間かかるんだい?」
と非常にフレンドリーで、外国人旅行者に興味津々の様子です。
ぴー「あなたはロシア人ですか?」
男性「そうだよ」
ぴー「僕たち、何年か前にロシアに行きましたよ」
男性「えっ!そうなのかい?僕はサンクトペテルブルグ出身だよ」
ぴー「へ〜、僕たちサンクト行きましたよ」
男性「そうか〜。いいところだろう?」
ぴー「ええ、そうですね」
話は尽きません。
ぴー「ところでバプティズム・サイト内を見学したいんですけど、どうやって行けばいいんですかね?」
男性「あっちの方だよ。ヨルダン川沿いに歩いて行けるよ」
ぴー「そうなんですか?そうしたら、ここに車を停めさせておいてもらってもいいですか?」
男性「もちろん構わないよ。いってらっしゃい」
庭師の男性の言う通り、昨夕は行くのを禁じられた川岸に行ってみます。
いきなり撃たれたりしないよね?あたりの様子をうかがいながら、恐る恐る川岸への路を進むぴーぱー。
無事、川岸到着。これがキリストが沐浴したという聖なる川です。
流れが穏やかな小さな川ですが、川向こうはもしかしてイスラエル?
こんな国境見たことありません。 ←温泉に入ったアメリカとメキシコの国境、リオ・グランデ川に似てますよ。 byぱー
かつてはこの川をはさんで、イスラエルとヨルダンが戦火を交えたとは思えないほど穏やかな流れです。
そして失礼ながら、聖なる川のイメージとは少々かけ離れた濁った水。そういえば、インドの聖なるガンジス川もこんな色の流れでした。
川岸を離れ敷地内を散策。するとプーチンのモザイク画が。ここに来たときの様子のようです。
この屋根の下で、記念式典でも行ったのか?
さらに10分ほど歩くと、閑散とした風景だったところに急に人の姿が見えてきました。ここがバプティズム・サイトなのでしょうか?
駐車場には大型観光バスが何台も来ていて、大勢の人で賑わっています。
どこが入口なのか(?)よくわかりませんでしたので、とりあえずゲートらしきものの中に入ってみました。
中に入ると散策路のようなものがあり、とりあえず順路に沿って歩いてみました。
ここがキリストが洗礼を受けたとされる場所。
ここがサイト内の川岸です。対岸もイスラエルの観光客で賑わっています。
向こう側は現代的観光地として整備されているようですが、こっち側は素朴な観光地の雰囲気です。
対岸の人が「そっちはどうですか?」と話しかけてきます。「なかなかいいですよ!」と話すことができました。国境をはさんで会話ができる珍しい場所です。
ちなみにぴーは、この写真を撮った数秒後、川岸の踏み板の泥で滑って川の中にドボンと落ちてしまいました!!Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
全身ずぶ濡れ。カメラも水没しておシャカ。宿へ戻る途中、怪しいヤツとして警備のヨルダン兵に捕まって尋問されました。
ずぶ濡れ=川を渡って不法入国した不審者と疑われたようです。
宿のオジサンが日没後は川岸に行くなと言ったのも、不法入国者と間違われないようにするためだったのですね。
ここに行く方はくれぐれも滑る踏み板にご注意下さい。ホントに滑りますヨ!
でもコレってもしかして洗礼受けたってこと?でも神の声は聞こえなかったなぁ。
〜ぱーの声
一応サイト内を一周してみましたが、正直あまり理解できませんでした。
ていうか、本当はこの中、ツアーでしか回れないみたいです!Russian Pilgrim Residence の人は、そんなこと教えてくれませんでしたけどね。
よくわからないぴーぱーは順路と逆回りに歩いてたようで、何回か「君たちのガイドはどこにいるんだい?」と聞かれました。確かに公式サイトにはツアーのことが書かれているようですが、ツアーに入るつもりはなかったので、全部は読まなかったんです。
なんだか居心地が悪くなり、再び歩いて Russian Pilgrim Residence に戻り、ヨルダン川沿いのベンチに座ってサンドイッチを食べるぴーぱー。
バプティズム・サイトと景色は一緒だし、こちらの方が静かで過ごしやすいね。
細かいことはわかりませんが、ここが聖なる場所だということは理解できました。貴重な経験でした。〜
今日はこの後、モザイクシティとして有名なマダバへ向かいます。
ぴーぱー夫婦の だんなのぴー:車担当。
四駆、旅、登山、星、温泉、お遍路、DIY、野菜づくり、マグロ好きの50代。別名マグロよしのり。2020年3月退職。
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